結論からお伝えします。
子どものうちからいろんな場面で「なぜ?」「どうする?」を楽しく会話することで、思考の体力を養っていくことがユダヤ人家庭では当たり前となっています。答えを教えることよりも、問いかけることの方が、子どもの思考力と自主性をずっと大きく育てていきます。
ユダヤ人の親は、学校から帰ってきた子どもにこう聞くそうです。
「今日、何かいい質問した?」
「今日、何を勉強した?」ではなく。「今日、何かいい質問した?」と。
初めてこの話を聞いたとき、いろパパはハッとしました。自分は上の子が帰ってきたとき、「今日、どうだった?」「宿題は?」としか聞いていなかったからです。
質問する力を育てること。疑問を持つことを大切にすること。それが5000年間、ユダヤの家庭で受け継がれてきた教育の核心でした。
この記事でわかること
- ユダヤ式教育が「質問」を大切にする理由
- タルムードの「二人の泥棒」の話
- 「なぜ?」を育てる家庭での実践方法6選
- ハブルータ学習法とは
- よくある質問
ユダヤ式教育が「質問」を大切にする理由
タルムードは、ユダヤ教の口伝律法と学者たちの議論を書きとどめた議論集です。答えのない説話も多く、タルムードを読み、親と問答を繰り返すことで、「なぜなのか」「自分ならこうする」と、多面的な視野や独自のアイデアを生み出していきます。
「問いの民族」「議論の民族」とユダヤ人は呼ばれます。
ユダヤ人の家庭では、親が子どもに「正解」を教えることよりも「どう思う?」「なぜそう思う?」と問いかけることを大切にします。正解のない問いに向き合い続けることで、自分で考える力が育っていくからです。
ノーベル賞受賞者の20%以上がユダヤ式の教育を受けていると言われています。 その背景には、幼いころから「なぜ?」を大切にする家庭環境があります。
タルムードの「二人の泥棒」の話
ユダヤの家庭で子どもによく問いかけられる話があります。
「ある日、煙突から居間に二人の泥棒が入ってきた。一人の顔にはすすがついていて真っ黒だった。もう一人の泥棒には全然すすがついていなくて真っ白だった。さて、どちらの泥棒が顔を洗うだろうか?」
この質問には正解はありません。ユダヤの家庭では、この問いを通じて子どもと議論します。「汚れている方が洗う」と答えたとしても、「顔が白い方は相手の顔を見て汚れていると思うから洗う」という答えもあります。物事には次元の違いがある、というのがこの話の本質です。
大切なのは「正解を当てること」ではなく「なぜそう思うのかを考えること」です。その問いかけと議論の繰り返しが、子どもの思考力を育てていきます。
「なぜ?」を育てる家庭での実践方法6選
① 「今日、いい質問した?」と聞く
学校から帰ってきた子どもへの声かけを変えてみましょう。
「今日、何を勉強した?」→「今日、何か不思議に思ったことあった?」
「テストどうだった?」→「今日、先生や友達にどんな質問した?」
ユダヤ人の家庭では、母親が子どもにタルムードの小話を読み聞かせ、話の中で「あなたならどうする?」「なぜそう思う?」といった質問をしながらコミュニケーションをとっています。
今日からできること 帰宅した子どもに「今日、何か面白いこと気づいた?」と聞いてみましょう。
② 答えを先に言わない
子どもが「なんで空は青いの?」と聞いてきたとき、すぐに答えを言いたくなる気持ちはよくわかります。でもまず「どうしてだと思う?」と逆に聞いてみましょう。
ユダヤ式教育で大切にされていることは、一方的に与えるのではなく、学ぶことを楽しいと感じ、自発的に学ぶ姿勢を持つということです。
答えを自分で考える体験こそが、思考力の土台になります。正解がわからなくても「一緒に調べてみようか」と言えるだけで十分です。
今日からできること 子どもに「なんで?」と聞かれたら、まず「どう思う?」と返してみましょう。
③ 夕食の場を「議論の場」にする
ユダヤの家庭では子どもに頻繁に問いかけます。「風は目に見えないし、形も色も匂いもない。けれども、どうして感じることができるのか?」3歳ごろの子どもにこの質問をします。もちろん正解はありません。子どもはそれぞれの発想で答えます。この狙いは子どもの議論する力を育むためです。
夕食の時間に、正解のない問いを一つ投げかけてみましょう。「もし空を飛べたらどこに行く?」「世界で一番大切なものって何だと思う?」。どんな答えでも「面白いね!なんでそう思ったの?」と受け止めてあげてください。
今日からできること 今夜の夕食で、一つだけ「正解のない問い」を投げかけてみましょう。
④ ハブルータ学習法を取り入れる
ハブルータ学習法とは、1対1でペアになり、質問と討論を繰り返す学習法です。1人が物事を説明し、パートナーはその説明を聞き、分からなかった部分を質問します。その質問に答えることで、より知識の定着を目指せる学習法です。
家庭での取り入れ方はシンプルです。絵本を読んだあとに「この話、どう思った?」と聞く。図鑑を見ながら「これって不思議じゃない?」と話し合う。それだけでハブルータ的な対話になります。
今日からできること 絵本を読んだあとに「一番面白かったところはどこ?なんで?」と聞いてみましょう。
⑤ 失敗を「学びの問い」に変える
子どもが失敗したとき、「なんでそんなことしたの!」と責めるのではなく「次はどうすればよかったと思う?」と問いかけてみましょう。
失敗から学ぶ力は、問いかけることで育まれます。責められると「次は失敗しないようにしよう」と萎縮してしまいますが、問いかけられると「次はこうしよう」と前向きに考えられるようになります。
今日からできること 失敗したとき「どうしてこうなったと思う?次はどうする?」と穏やかに聞いてみましょう。
⑥ 「わからない」を大切にする
「わからないことがあったら、それを認めること」はタルムードの教えのひとつです。
パパ自身が「パパもわからないな。一緒に調べようか」と言える姿勢を見せることが、子どもにとって最大のお手本になります。わからないことを恥ずかしがらずに、一緒に調べる体験が「知ることって楽しい」という感覚を育てていきます。
今日からできること 「パパもそれ知らなかった!面白いね、調べてみよう」と声に出してみましょう。
タルムードが教える「問い」の力
タルムードは問題ではありません。そのため正解はありません。しかし親との対話の中で、物事の本質を突き詰めていく練習をします。これを重ねることで、ユダヤの子どもたちはタルムード寓話の具体例から、人生に起こりうるあらゆる問題を知り、柔軟に対処する術を身につけるための知恵を獲得します。
正解を知っている子より、問いを立てられる子の方が、これからの時代を生き抜く力があります。AIが答えを出せる時代だからこそ、「どんな問いを立てるか」という力が人間に求められています。
こんな人におすすめの記事です
- 子どもの思考力・自主性を育てたいパパ・ママ
- 「うちの子、言われたことしかやらない」と感じている方
- 子どもとの会話をもっと豊かにしたいと思っている方
よくある質問
Q. 3歳の子どもにも「なぜ?」を問いかけていいですか?
もちろんです。むしろ3歳頃から始めるのが理想的です。「風はなんで見えないのに感じられるんだろうね?」のような問いを、一緒に不思議がるだけで十分です。正解を求めなくていいです。
Q. 子どもが「わからない」と言ったまま終わってしまいます。
「わからない」は最高のスタートです。「じゃあ一緒に調べてみようか」「パパはこう思うけど、あなたはどう思う?」と続けてみましょう。答えより対話のプロセスが大切です。
Q. 忙しくて毎日できません。
毎日でなくて大丈夫です。週末の夕食に一回、「今週一番不思議に思ったこと教えて」と聞くだけでも十分です。習慣より「問いかける親の姿勢」の方が大切です。
まとめ
「なぜ?」を大切にする育て方6選をまとめます。
- 「今日、いい質問した?」と聞く
- 答えを先に言わない
- 夕食の場を「議論の場」にする
- ハブルータ学習法を取り入れる
- 失敗を「学びの問い」に変える
- 「わからない」を大切にする
「今日、何を勉強した?」を「今日、何か不思議に思ったことあった?」に変えるだけで、子どもとの会話が変わり始めます。いろパパも現在進行形で取り組んでいます。


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